本文へ進む
大きな市場だけが上場ではない。小さな会社の上場を、数字で見比べる。
ホーム › 上場までの準備

中小企業の株価算定方法とは?主な3手法を比較

公開: 2026-10-16 / 更新: 2026-10-16 ・ 読了 約5分

この記事の要点

  • 株価算定方法は主に3種類で目的により使い分ける
  • インカムアプローチは事業計画の精度で結果が大きく変わる
  • 上場準備でも資本政策の材料として株価算定が関わる

中小企業の株価算定方法は、大きく分けて「コストアプローチ」「インカムアプローチ」「マーケットアプローチ」の3種類です。どれか1つが常に正しいわけではなく、会社の状況や算定の目的によって使い分けたり、複数を組み合わせたりするのが一般的です。

この記事では、それぞれの考え方と計算の大まかな流れ、上場準備の中で株価算定がどう関わってくるかを整理します。実際の算定は会計士や税理士など専門家の関与が前提になる作業なので、最終的な数字づくりは専門家に確認してください。

中小企業の株価算定が必要になる場面

株価算定が必要になるのは、主に次のようなケースです。

事業承継・相続のための算定

非上場企業のオーナーが株式を後継者に引き継ぐとき、贈与税や相続税の計算の基礎として株価を出す必要があります。この場合は国税庁が定める財産評価基本通達に沿った「類似業種比準方式」「純資産価額方式」などを使うのが一般的です。

M&Aでの売買価格の参考にする算定

会社を売る・買う場面では、将来のキャッシュフローをもとにしたインカムアプローチが重視されることが多くあります。ただし最終的な売買価格は交渉で決まるため、算定額がそのまま取引価格になるとは限りません。

上場準備での算定

東京プロマーケットなど株式市場への上場を目指す場合、公開価格を決める過程で株価算定を行います。上場準備の初期段階で自社の想定時価総額を把握しておくことは、資本政策を考えるうえでの材料になります。

コストアプローチの考え方と計算の流れ

コストアプローチは、会社の純資産(資産から負債を引いた額)をもとに株価を出す方法です。帳簿上の純資産をそのまま使う「簿価純資産法」と、資産・負債を時価に洗い直す「時価純資産法」があります。

計算の大まかな流れ

  1. 貸借対照表の資産・負債を確認する
  2. 不動産や有価証券などを時価に評価し直す
  3. 時価の総資産から時価の総負債を引く
  4. 発行済株式数で割って1株あたりの株価を出す

メリット

計算の根拠が貸借対照表という客観的な資料に基づくため、算定結果を説明しやすいという特徴があります。実績の少ない設立間もない会社でも計算できる点も使いやすいところです。

デメリット

会社の将来の収益力を反映しない点が弱みです。たとえば赤字続きでも優れた技術や顧客基盤を持つ会社は、純資産だけで評価すると実態より低い株価になってしまうケースがあります。

リバティーコンサルティング株式会社が、モーリシャス証券取引所の新興市場(DEM)への上場を、日本側のプロジェクト責任者として支援しています。

上場の条件に届くか相談する →

インカムアプローチの考え方と計算の流れ

インカムアプローチは、会社が将来生み出すと見込まれるキャッシュフローや利益をもとに株価を算定する方法です。代表的な手法に「DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法)」があります。

計算の大まかな流れ

  1. 今後3〜5年程度の事業計画をつくり、将来のフリーキャッシュフローを予測する
  2. 割引率(資本コスト)を設定する
  3. 将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて合計する
  4. 事業価値に非事業用資産を足し、有利子負債を引いて株主価値を出す
  5. 発行済株式数で割って1株あたりの株価を出す

メリット

会社の成長性や将来の収益力を織り込める点が強みです。黒字化前のベンチャー企業や、今は小規模でも成長が見込める中小企業の評価に向いています。

デメリット

事業計画の精度に算定結果が大きく左右されます。楽観的すぎる計画をもとに算定すると、実態とかけ離れた高い株価が出てしまうケースがあります。割引率の設定ひとつで株価が数割変わることもあるため、前提条件の妥当性が常に問われます。

マーケットアプローチの考え方と計算の流れ

マーケットアプローチは、類似する上場企業の株価指標や、実際に成立したM&A取引の価格を参考に株価を出す方法です。代表的な手法に「類似会社比較法(マルチプル法)」があります。

計算の大まかな流れ

  1. 業種・事業規模・成長性が近い上場企業を数社選ぶ
  2. それらのPER(株価収益率)やEV/EBITDA倍率などを調べる
  3. 自社の利益やEBITDAに、調べた倍率を掛け合わせて株価を試算する

メリット

市場での実際の取引価格や評価を反映できるため、算定結果に客観性を持たせやすい方法です。上場準備の過程で公開価格の目安をつくる際にもよく使われます。

デメリット

中小企業と事業規模や成長段階が近い比較対象を見つけるのが難しいという弱点があります。無理に大企業を比較対象にすると、規模の違いによる誤差が大きく出てしまうケースがあります。

3つの手法をどう使い分けるか

実務では、1つの手法だけに頼らず複数の手法を組み合わせて算定することが少なくありません。たとえば事業承継では純資産価額方式と類似業種比準方式を併用する折衷方式が使われますし、M&Aや上場準備ではインカムアプローチとマーケットアプローチを両方試算して、結果を比較することがあります。

どの方法を選ぶかによって算定結果に数倍の開きが出ることもあるため、「なぜその方法を選んだのか」という根拠を説明できることが大切です。この判断は専門知識を要するため、公認会計士や税理士に相談しながら進める必要があります。

上場準備における株価算定の位置づけ

東京プロマーケットのような特定投資家向けの市場を目指す場合でも、資本政策を考えるうえで自社の想定株価を早い段階から把握しておく意味があります。上場までの一般的な流れとしては、現状分析と計画づくりから始まり、監査対応、申請書類の準備、取引所審査、投資家向け資料の準備を経て上場に至るという段階を踏みますが、この中で株価算定は資本政策の設計や既存株主との交渉材料として関わってきます。

ただし上場は資金調達の成功や株価の上昇を約束するものではありません。上場後も継続的な情報開示の義務が続くため、算定した株価はあくまで準備段階の参考値という位置づけで考える必要があります。東京プロマーケットを含む上場市場の条件は変更されることがあるため、検討する際は日本取引所グループの公式サイトで最新の案内を確かめてください。

海外の新興市場に目を向ける選択肢もあります。たとえばモーリシャス証券取引所には新興市場(DEM)と公式市場があり、DEMでは決算書1年分と上場時の時価総額2,000万ルピー程度(為替により変動)などの条件が設けられています。国や市場によって上場条件も株価の考え方も異なるため、検討する場合は現地の制度を個別に確認する必要があります。

まとめ

中小企業の株価算定方法には、純資産を基礎にするコストアプローチ、将来の収益力をもとにするインカムアプローチ、市場の類似企業と比べるマーケットアプローチの3種類があります。事業承継・M&A・上場準備など目的によって適した手法は異なり、複数の手法を組み合わせて検証することも珍しくありません。算定の前提や根拠が結果を大きく左右するため、実際の算定と判断は公認会計士や税理士など専門家に確認しながら進めることをおすすめします。

よくある質問

Q. 中小企業の株価算定はどの方法が一番正確ですか?
A. 目的や会社の状況によって適した方法が異なるため、どれか1つが常に正確とは言えません。事業承継・M&A・上場準備など目的に応じて、複数の方法を組み合わせて検証することが一般的です。最終的な判断は公認会計士や税理士に相談することをおすすめします。
Q. 株価算定は自社だけで行えますか?
A. 簡易的な試算は可能ですが、相続税・贈与税の計算やM&A、上場準備に使う算定は専門知識を要するため、公認会計士や税理士などの専門家に依頼するのが一般的です。算定の前提条件によって結果が大きく変わる点にも注意が必要です。
Q. 上場準備で株価算定はいつ必要になりますか?
A. 上場までの準備の初期段階で、資本政策を考える材料として自社の想定株価を把握しておくことがあります。公開価格そのものは審査や投資家との調整を経て決まるため、準備段階の算定はあくまで参考値という位置づけです。
この記事をシェア: X(Twitter) LINE

あわせて読みたい

関連データ

シーズクリエイト(8921)|TOKYO PRO Market上場・不動産業
五健堂ホールディングス(9146)|TOKYO PRO Market上場・陸運業
大友ロジスティクスサービス(9149)|TOKYO PRO Market上場・陸運業
はなホールディングス(9156)|TOKYO PRO Market上場・サービス業
→ 社をすべて見る

リバティーコンサルティング株式会社が、モーリシャス証券取引所の新興市場(DEM)への上場を、日本側のプロジェクト責任者として支援しています。御社が上場の条件に届くかを確かめる初回のご相談を受け付けています(このメディアを運営する無限開拓株式会社が、ご相談を同社におつなぎしています)。

上場の条件に届くか相談する →